【川越市】テレビでも報道。伊佐沼の古代蓮が危機を迎えています
今回は川越市内を舞台とするニュースの紹介です。
場所は美しい自然を楽しめるスポットとして広く知られている伊佐沼で、対象は例年、その伊佐沼で美しい花を咲かせる古代蓮です。
#伊佐沼
ハスが咲いてます pic.twitter.com/Lc1CtkQxuf— 藤間囃子保存会 (@pe_tgj) July 13, 2019
その古代蓮が壊滅の危機を迎えているそう。私は2023年7月19日に足を運びましたが、やはり古代蓮の花は咲いていませんでした。状況としては「花が咲いていない」どころか、ほんの一部を除いて葉もありませんでした。 私はこのニュースをテレビの情報番組で知りました。 その番組内ではコメンテーターの方が考えられる原因として「気候の変化」「古代蓮を食べるカメの増加」「冬に水を抜くことの影響」などを挙げていました。
カメによる食害を防ぐためのものでしょう。現場にはカメの捕獲器が設置されています。
もう少し、この話題を掘り下げましょう。
まず、伊佐沼について。 伊佐沼は自然にできた自然沼としては埼玉県内最大、関東地方でも印旛沼(千葉県)に次ぐ広さといわれています(通説です)。ちなみに湖と池の違いは、湖は「水深が深くて植物は湖岸に限られ、中央の深いところには沈水植物が見られないもの」で、一方の沼は「湖より浅く、最深部まで沈水植物が繁栄するもの」とされています。ですので、一般的には「湖は沼よりも広い」というイメージがありますが、実際は印旛沼のように鎌北湖(埼玉県)などの一部の湖よりも面積が大きいケースもあります。
また、伊佐沼は自然沼ではあるものの、私たちの暮らしと密接に関係しています。以前、私が近隣の稲の生産者の方にうかがったところでは、伊佐沼は近隣の稲作の用水に利用されていて、その影響で、冬は水位はかなり低くなるとのことです。
下の写真は2022年11月に撮影したもので、夏には水で満たされるエリアも底が見えています。ちなみに先に紹介したようにテレビ番組では古代蓮の壊滅危機の原因として考えられるものに「冬に水を抜くこと」が挙げられていましたが、それは以前からずっと行われてきたものです。なんでも、知人に聞いた話では、以前はそのときに魚を捕まえて食べることもあったとか……。
古代蓮については、じつは私は「伊佐沼といえば古代蓮」というイメージはあまりありません。
というのも、私は高校時代に部活動でよく伊佐沼の周囲をランニングしたのですが、その頃は古代蓮は咲いていなかったから。
調べたところ、伊佐沼の古代蓮の歴史は古く、江戸時代まで遡ることができますが、一時期は壊滅状態にあったそう。それが1994年頃から「伊佐沼の蓮を咲かそう会」を中心とする地域の方々の尽力により復活し、昨年までのように美しい花を楽しめる状況になったとのことです。近隣の商業施設の方のお話では、今では遠方から「伊佐沼の古代蓮」のために足を運ぶ方もいらっしゃるそうです。
また、私が足を運んだ時には伊佐沼のほとりで野鳥の写真撮影を楽しむ方がたくさんいらっしゃいました。 お話をうかがったところ、「どこにでもあるような沼ですが、このようにヨシ(植物の葦(アシ)の別称/イネ科の多年生植物)が生い茂っているところはあまりなく、それで珍しい野鳥がやってくるのですよ」とのこと。
このように、じつは伊佐沼は個性的な存在です。いつまでも、美しい姿を楽しめるように私たちもできるかぎりのことをしたいものです。
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